直線上に配置

Doctor Mからのメッセージ#067                     (2007.1)
        胃に放り込む量を”苦痛なく”減らすノウハウは?その1
 
 
カロリー過多の方がカロリー摂取を“苦痛なく”減らすことは非常に重要でありますが、一番難しい患者指導であり、最も小生の頭を悩ましているものです。このDMMの中でも肥満とかカロリー関連の号を何度も書いているのはその反映です。 ところで、もともと自己抑制の非常に苦手な私が最近は体重を5kg以上減らしてずっと維持しているのです。何とかご参考になって欲しいと思い、多少のプライバシーを暴露します。

 私の趣味は大学時代からランニングとサッカーです。サッカーは熊本県シニアサッカーリーグで現役選手として十五年活動しています。今でも上手くなりたいし、この高齢の現在でも毎年上手くなっていっています(もとがいかに下手糞だったかということです)。

 
私の身長から計算される標準体重は63〜64kgです。青年期は50kg強で、「痩せ」でした。その後、加齢とともに徐々に増えてきて、3年前に66kgになりそうでした。運動を続けていてもそうなってきたのです。「運動時における身体のキレが悪くなってきた」ことと、「ウエストの形の格好が悪くなった」こともあり、ダイエットしようと初めて思いました。私が上手く行った理由はこの二つをどうしても改善したいという動機が強かったこともあるかも知れません。3ヶ月で5kg強減らすことが出来て、その後60kg前後で維持しています。何故標準体重よりも少ないのかと言いますと、上記の2ケの目的のためには標準体重を維持する程度では不充分のように思えたからです。上下2kgくらいの増減はありますが、増えたら食べるのを少し控える訳で私の場合は簡単です。

 
自分はパクパク食べるのが大好きでしたが、よーく考えると微妙な味をじっくり味わってこなかったことに気付きました。そこで、食物は舌の前方で十分に味わってみる癖を付けました。すると、少量ずつ口に入れることになります。舌先で味わうために、なるだけ前方で処理します。奥歯で噛んでも、以前ならここでゴックンとするところをまた何回か舌先で味わおうとするのです。そうすると自然と一旦お箸を置くことにもつながりましたし、食事の時間が経ってしまいます。そうしたら、初めは白飯をもう一杯おかわりしようかと思っていたのが、満腹に近いので止めにするということになってきました。小生は白飯が大好きで副食が多い時でも必ず十分な白飯が必要でしたが、意識して白飯は後回しないし少量ずつ味わうような癖にしました。ポイントは「口にいれたら30回は噛みましょう」という風な寂しい話ではなく、ゆっくり味わおうという豊かな話なのです。小生は恥ずかしながら50数年間生きてきてやっとそういうことに気付きました。その結果、食事量は減りましたが、食事は以前よりも待ち遠しくなって、楽しく食べています。最初の動機の目的も上手くいきましたが、結果的に味わって食べることの喜びも増えたのです。ノウハウのポイントは、少量ずつ口に入れることと、ライオンのように口を上下に大きくパクパクしないで、馬のように舌と口蓋との隙間をあまり空けないことでしょう。味と舌の接触が増えるので味を損しないことになります。

 早食いをすると、食べ終わってから「ありゃ、食べ過ぎて胃が苦しい」という不適切な事態になる。満腹中枢を満足させる前に胃袋を満杯にすることを避けるためにも、ゆっくり食べる必要があります。満腹中枢が満足したら、その時点で食事を終了する前提であります。そうでないと、単に「長飯食い」というだけで馬鹿馬鹿しいです。

 
もう一つのことは、体重計を身近なところに置いておき、毎日計ることです。興味がでてくると、「今日は大食いになってしまったが、どの位になったかな?」と知りたくなる場合もあります。体重計は2千円未満の安いものが必要十分です。電池切れで困るような体脂肪計のようなものは止めた方が宜しいと、これは強くお勧めしたいです。

←Back                                                                 Next→
直線上に配置