Doctor Mからのメッセージ#066 (2006.11) 睡眠剤を服用薬するかしないかについての考え方 私は神経内科の専門家ではありませんが、神経内科の専門医が書いたものは何度も目にしています。一般的な意見は、過量でなければ不都合なことはあまりないというものです。特に、不眠対策にアルコールを飲むよりも睡眠剤を使用する方を勧めるというものであります。これは多くの(全部ということではない)専門家による意見であろうと思います。しかし、それを踏まえた上でも、Aさんの場合はどうでBさんの場合はああだというのが、実地の臨床の場では大切だと思います。これは人生のあらゆる事柄に言えることではないでしょうか。以下に、思いついたままを述べてみます。 睡眠薬の服用をするかしないかは基本的には自分が決めることです。その種類や量を含めて、医師が一緒になって考えさせて頂くというものです。要するに、眠れないことが個々の人についてどの位苦痛で不都合かにより睡眠薬を飲もうか飲まないかとなるのだろうと思います。眠れなかったら深夜テレビを楽しむのであればそれで悪くないかも知れません。しかし、寝ている部屋が相部屋であればそういう訳にはいかない。また、次の日の昼間に仕事あれば寝不足は支障を来たすので、これもそういう訳にもいかない。眠らないこと自体がイライラする場合も、睡眠薬を飲んだ方が良いと私は思います。寝室が個室である友人が、寝室が相部屋の不眠症の人に「あんた、薬は飲まん方が良いよ」というのは、無責任な話ではありませんか?無責任な人は想像力不足です。 「降圧剤」の場合の質問と同じく、「睡眠剤を利用しだすと止められなくなるのが心配だ」という質問について。先ず、何故今、飲み始めようかと思うようになったかを考えると、その大部分は高齢になってきたことと関係があることは容易に判ります。種々の複数の原因があるにせよです。ということは、今後もどんどん年をとっていくので、今服用が必要なら、数年後に不必要になる事態が加わらない限り必要であろうとは思いませんか? だから、飲み始めたことが止められない理由とするのは濡れ衣であると思います。実際に、時々や途中からずっと止められることもあるのです。上述しましたように不必要になる事態が加わった場合や、自分の気持ちが変わって「やっぱり、飲むのを止めようか」と思った時には途中で止めれば良いのです。何度も言いますが、自分が決めることですし、個々の人のその時の状況によって、どの様にでも選択すればよいでしょう。「癖になるかどうか」については、比較的少量で済んでいた場合は、あまりないかも知れません。ある程度はあるかも知れませんね。その理由が、心理的依存なのか薬理学的機序なのかは別にしまして。 しかし、昼間することも少なく、身体的や精神的な活動をあまりしないのであれば、夜はそう眠たくないのかも知れませんね。さらに昼間にかなり寝入っている習慣があればなおさらです(一般的には、一寸だけ午睡するというのは老若を問わず、悪いこととは限りません)。便秘の改善と同じく、薬を始める前に、生活の改善の余地があるのではないかと考えてみる必要があるでしょう。 睡眠薬を既に服用している方も、時々は止めてみたり減量してみてどうなるかを時々試すのが良いことだと思います。それで必要性が確認出来たら続けたら良いのでしょう。 睡眠剤服用の際には近い時間にアルコールは飲まないのが無難で、超短期効果の睡眠剤は就寝直前に服用するのが無難と思われます。しかし、これも個人差がある。 |