Doctor Mからのメッセージ#063 (2006.11) カロリー制限が上手く行かない人に良くある誤解?言い訳? 成人の肥満の根本的な原因は、@美食を知った人間は食べるという快楽に弱いので飲み食いし過ぎてしまう、A肉体活動や精神活動の機会が減って、エネルギー消費が減る(脳も多量にブドウ糖を消費する)、B身体固有の基礎代謝量も減ってくる(体温も下がってくるし、他の生理活動も低下してくる)、などでしょう。もし肥満を解消しようと思えば、少なくともこの三つを解消しないといけない。Bは個人差もあるが加齢が原因。Aは加齢が大いに関係する、@は加齢との関連はあいまいであるが、勤労が減ると暇になるので、暇にあかして食べ過ぎるパターンが多いので、やはり加齢とも関連がある。ようするに忙しかったら呑気に食べている暇がない。 このうちで、自分自身で改善しうるのは@とAであり、Bは医師以外は手出しは難しい。私自身はAの問題をしっかり解消するのが一番と思っています。やはり、天にもらった身体は不具合がない限り動かさないとお天道様に申し訳ないと思います。それに沢山動けることは有難いことです。私自身は天に感謝をして動き回っています。(だから、もし膝が痛かったらそれは大問題なので、装具などの簡単に出来る対策を真剣に実行するべきでしょう)その前提で、次に@の問題に敢えて絞って書いてみたいと思います。 無理に極端なダイエットをして、その結果、やせたのは良いが体調が変になってしまったというのも問題ですが、ここでは別の切り口を強調したいと思います。 臨戦態勢と平時態勢では対応が同じはずはありません。例えば、度を超した肥満は平時ではないという認識がいると思います。そんな時に常にカロリーも計算通りでバランスを崩さないという風な栄養指導は単純思考であると思います。(現に、超肥満の人に専門医師の管理の下で、超低カロリー食という治療もあるのです) 私は多少の食事バランスが変わってもよいではないかと思いますし、カロリーについては後述するように甘い自己論理で凌いでいても解決は出来ません。ある程度、肥満が改善してきたらそれに応じて平時の状況に戻してくればよいと思います。ところで、実際に多い話は次のようなものです。 全く体重が減らない人がしばしば訴える内容が「食事も少ないし、間食もしないし、これ以上どうするのか?」ということです。栄養指導の機会に、詳しく調査すると、案外カロリー過多であったと判る場合が少なくない。しかし、本当に調査してもその通りならどうなのか? 私はこう思います。「それだけ摂取量が少なくてもこの肥満の身体を十分に維持しているのですから、カロリーが少な過ぎることはないはずだ。@の問題があるので非常に難しいことは百も承知だが、理屈だけでも理解して頂きたいという観点からは、もっとカロリーを減らす余地がある。こういう話は成果主義であって、結果が不十分なら対策が不十分だということである。ここで喚起したいことは、消化吸収能力の個人差が大きいはずだということである。口に放り込んだらそれは身体の中と思うのが勘違いであり、吸収されなかったら結果的には身体の外なのです。だから、家族の他の人間とも比較にならないのである」 個人情報になってしまいますが、私のワイフは肉体的にも精神的にももの凄く働き者です。基本的に怠け者の小生とは反対なのです。ところが結婚以来、食事をほとんど摂っていないように私の目からは思われます。非常に食事の量が少ない。しかも、時々食欲がないといって食べないこともある。そういう時は後で一寸何かを食べるにしても量は少ないし、間食もほとんど摂らない習慣です。自分と余りにも違うので、大丈夫かなと心配したこともありましたが、家事で力仕事もよくするので、筋肉の発達も立派なものです。多分、消化吸収の効率が余程良いのだろうと思いますが、体温も低いし全般的に副交感神経緊張的な面があるので、基礎代謝量が小さいのだとも理解しています。 |