直線上に配置

Doctor Mからのメッセージ#043                     (2004.11)
              高齢者に対するマシントレーニング導入の経緯

 私はもともと高齢になっても筋肉の鍛錬が必要であると思ってきました。むしろ、高齢だからこそ必要であります。そのことは、すでにこのDMMの#12に書いています。私の先輩に大阪府で小病院を経営している先生がいまして、最近、立派な老人保健施設も併設されました。一年半前に、その見学を兼ねて介護サービス全般について学んでこようと、私と事務長とで大阪枚方市まで出掛けたことがありました。その時に高齢者に対するマシントレーニングを行なうスペースを案内されました。トレーニングジムにあるような器具が並んでいました。その時は、一人の利用者がその器具を用いて筋トレを受けていましたが、80歳代のか細い女性でした。私はそれを見てカルチャーショックを受けました。そういう器具と高齢者とが結びつくとはそれまで思っていませんでした。この老健施設はマシントレーニングの推進プラン実施前のモデル施設であったのです。その時は、「フーン、そういうことが出来るんだ」と思いましたが、スペースの問題もあり、内科が主体の当院に具体的に導入することまでは考えませんでした。

 厚生労働省が平成15年度に、高齢者に対する筋力向上トレーニングの推進プランを発表していましたが、最近は積極的に推進しだしています。当院のデイケア責任者もリハビリのメニューにこのマシントレーニング(パワー・リハビリテーション)導入を希望し出しました。スペース的にも何とか可能であると思われました。外来処置室の向こうの心エコー室を手前に拡張して機能回復訓練室に宛てるというものです。壁を取り壊し、新しい簡便な仕切りを外来処置室に一寸食い込むように付ける算段です。そうすると、処置室の隣ですので、職員のアクセスも非常に良いというものです。心エコーなどの検査のために医局は完全に乗っ取られて消滅の憂き目に相成りました。

 当院でデイケアや病棟などでリハビリの指導をして頂いている理学療法士の田中さんも以前からパワー・リハビリに興味を持っていたので、導入の時点から相談や指導を積極的にして頂けることになりました。そこで、事務長が、医療機器納入の代理店に話をすると、たまたまこういう器具を扱っているメーカーのOG社がつい最近、熊本県に初めて出張所を開設して、前日に当院に出入りしている代理店に売り込みに来たばかりのタイミングとのことでした。

 他の会社の器具も多少チェックしましたが、総合的にOG社のもので宜しいということで、直ぐに納入をしてもらうことにしました。つまり、早々に熊本県での納入第一号となったのです。 納入の直ぐ後で、長崎県の病院から見学したいとの電話が入りました。長崎県ではこのメーカーの機種はまだ納入した医療機関がなくて、九州では熊本県の当院と鹿児島の一医療機関だけにしか納入されていなかったとのことでした。

 当院では、スペース的に現在は3機を設置します。しかし、順調に進めば少なくとも4機目は何とか設置が可能であります。要するに設置する機械の種類によって、筋肉リハビリの種類が決まるのです。ただし、個々のリハビリの際には通常は一回に2〜3機種までの使用が無理のない限度かと思っています。

 
対象者は介護制度における「要支援」「要介護1」などに限らず、広く外来の方が利用されて意味があるものと考えられます。どうも近い将来はそういう方向に向かうという風に厚生労働省も考えているようです。

←Back                                                                 Next→
直線上に配置