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Doctor Mからのメッセージ#006                      (2001.3)
                  薬の効果に影響する食品 


 先日、外来で「降圧剤のカルシウム拮抗剤をグレープフルーツジュースと一緒に飲むとよくないという番組を見たが」という質問を受けました。これを機会にこのテーマを選びました。グレープフルーツ(GF)に含まれる物質には一部の薬物の肝臓での分解速度を遅らせる作用があるということです(肝臓のP450 3A4という代謝酵素を取り合うので)。つまり薬の血中濃度が高くなる可能性があり、結果的に薬をより多く服用したことになる可能性があるということです。降圧剤の場合は血圧がより下がるということです。GFのこの作用と関係のある薬は降圧剤のうちのカルシウム拮抗剤でも日本では最も多く用いられているいフェロジピン系のものです。ハルシオンなどの睡眠導入剤やエリスロマイシン系の抗生物質も同じ酵素を取り合いますが、現実的にどの程度なのかは判りません。多分、GFが多量でなければ影響は多くはないのではないかと思います。
 毎日GFをかなり飲む状況なら、フェロジピンの降圧作用がより強く出ている可能性がありますが、血圧の変動や薬の効き具合の個人差の原因はもともと複合的であるので、気が付かないかも知れません。君子危うきに近寄らずですが、たまに適量楽しむ程度なら宜しいのではないでしょうか。何でも多量は良くないですね。
GFと薬の時刻を4〜5時間離すのが無難でしょう。

 「納豆は血を固まりやすくするので食べない方が良いのか?」について。脳梗塞や心臓内血栓のリスクの高い人などには、強力な抗血液凝固剤のワーファリンという薬を服用することがあります。この薬はもともとビタミンKの作用を抑制することにより抗凝固剤作用を発揮するのです。そこで、ビタミンKの多い食品を摂取すると、ワーファリンの薬効が薄れるので困るということです。しかし、ビタミンKは多くの野菜や海草にも含まれています。粘り気の強い芋・オクラなどは比較的に多いらしいです。特に納豆とクロレラには多量に含まれています。納豆を禁止にする理由は、ビタミンKの含有量が多いということのみでなく、それは食生活の上で特に欠かせないものではないということです。クロレラも当然禁止にすべきです。ところが、もし多くの野菜を多少ビタミンKを含むというだけで制限するとすると、その不都合は大きいし、その割にはその恩恵はあいまいです。そこで、野菜については何も言わないことが多いのです。つまり、薬のことでも多くの物事と同様ゼロか百かではないのです。物質の量・作用の頻度・作用が重大か軽微か・その他の状況を総合的に勘案して最終的には個々に決めることでしょう。何でも多量は要注意ですね。最後に、ワーファリンを服用していない人にとっては、納豆は問題食品ではありません。

 貧血の治療剤で鉄剤があります。特に茶(タンニンが問題)と胃薬のうちでも制酸剤(水酸化アルミニウム・水酸化カルシウム・酸化マグネシウム=カマグ)はその吸収を不十分にします。鉄剤を服用する時だけはそういうのを避けましょう。いつ服用するのかは好みの個人差がありますので、主治医と相談して決めておくのが良いと思います。その他、乳製品・牛乳・玉子も多少吸収を悪くするらしいですが、服薬して貧血に対する効果があれば気にしなくても良いとも考えられます。

 アルコールは肝臓のP450の酵素群を取り合うので、種々の薬の血中濃度へ影響します。加えて、アルコールは向精神作用があるので、特に睡眠薬など使用の際は要注意です。

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