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Doctor Mからのメッセージ#005                     (2001.1)
            検診・人間ドックで何が判って、何が判らないのか


 
住民検診は事情が許せば受けるのをお勧めします。基本健康診査・胸部検診・胃癌検診・腹部エコー・婦人科検診・乳癌検診などがあります。まず、基本健康診査ですが、一般診察に加えて主に採血検査で判断する内容のものです(採血検査は選んだ検査項目しか判りません。採血検査で何でも判ると思っている方がおられるので念のため)。検査項目は経済面も顧慮して決められるものです。この基本健康診査の指定検査項目からは癌以外の成人病(私は生活習慣病よりもこの言葉を使いたい)については大概は判断できるので大変便利だと思います。

 癌検診はほとんどが個々の画像診断でのみ判断出来るということをしっかり知って頂きたいと思います。腫瘍マーカーといって血液や尿で判断する場合もありますが、一般の成人の癌の早期診断では役には立ちません。要するに肺癌なら胸部写真や胸部CT、食道胃十二指腸なら胃カメラ(透視もありますが)、大腸も大腸カメラ(透視もありますが)、肝臓・胆嚢・膵臓・腎臓などは腹部エコーや腹部CTで判断するのです。その他、甲状腺・乳腺も視診・触診のうえで怪しいのはやはり画像診断です。子宮癌検診の場合、子宮頚部癌は直接見えるところにあり、観察で怪しい場合は検診にて細胞診も行われます。

 胃透視も多少そうですが、肺癌検診において胸部写真で肺癌の疑いでひっかかっても、精密検査の結果では癌ではなかったということは非常に多いのです。私も委嘱されている熊本県の胸部検診では2人の経験のある認定読影医が個々に診断して、その上で当該医師と違う第三の判定医師の総合判断で判定して、受診者に結果を通知するのです。それでもあやふやであるので、結局ある程度怪しい陰影はひっかけるのです。そうしないと、見落としが多くなるのです。胸部写真の読影は実は非常に難しいのです(胸部CTの方が判断し易い)。だから、例えば肺の専門医がいない病院の人間ドックや職場検診を受けて肺は大丈夫と言われたからといって、診察上必要と思われる胸部写真を受けたくないと言われる方がおられますが、こういう時は困ってしまいます。肺癌の予後は良くないので1年に最低1回の胸部写真をするのをお勧めします。


 人間ドックは基本健康診査よりも採血項目がより充実して、各種癌にたいする検査を複数メニューに加えたというものです。やはり選んだ項目によって判るものが決まります。各ドック機関による項目のメニューが多少異なります。

 人間ドックにせよ検診にせよ、あくまでも「一応健康だろうが、どこか悪いところがあるかも知れない」と言って行う検査です。ある病気で医療機関にかかっている場合は、当該疾患に関することは当然診療の方の判断を優先されるものです。私は経済面を考え、検診やドックの結果データーを参考にしてなるだけ重なる検査は今回は省略しようなどの工夫は積極的にしております。しかし、採血項目も個々の方において治療上必要な項目がドックや検診では抜けていることがあります。また、胸部写真などの話ですが、たとえ1ヶ月前に検診で異常なしでも、数日以内に異常陰影が出現することは稀ではありません(特に炎症などでは変化が早いことが多い)。症状がある場合は最近の検診の結果に拘っては間違いの元です。胸部写真は必要であれば1日に数枚撮影しても全く心配ありません。妊娠中の人でも本当は問題なしです。

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