直線上に配置

Doctor Mからのメッセージ#002                     (2000.10)
                  薬の副作用とはどういうこと 


 薬の副作用は大きく分類してアレルギー反応(過敏反応とほぼ同じ)と本来の薬の作用(薬理作用)に関連した副作用の2つがあります。この2つはきっちり分けておく必要があります。アレルギー反応は薬の本来の作用とは無関係です。アレルギーは別の機会に述べることにします。
 いずれにしましても、副作用は必ず出るというものでなく、出るかも知れないという身体の反応です。残念ながら絶対に副作用のないという薬は一応ないと思って頂きたい。ですから、効能を確認出来ない薬はそういう意味からも服用を続けない方が良いのです。薬剤情報提供書にはスペースの関係上も副作用内容の一部しか記載できません。あくまでも参考の一部です。もし、服用して何だか変だなとか、副作用かも知れないという感じがしましたら、その時点で次の服用は延期して医師に連絡して、以後の対応を協議するようにして下さい。電話で十分な場合も多いと思います。

 薬を服用した時にみられる効果ないし作用のうちで、目的に一致した効果を「効能」ということなら、目的に合わない効果を「副作用」ということになります。勿論、副作用は良くないのですが、その副作用を来たした薬はひどい代物かというと、そう簡単ではありません。先ずは1例を挙げましょう。βブロッカーという種類の薬は高血圧や頻脈性不整脈などに効能があります。そこで、この両方の疾患を持った人に投与すると、1剤で一石二鳥となります。ところが高血圧だが脈拍数が少ない人に投与すると、脈拍数を減らすという作用は副作用になりかねません。逆に脈拍数は多いが血圧が低い人に投与すると血圧を下げるという作用は副作用になりかねません。こうした種々の効果がある薬の場合は適用を適切にしないと副作用になることがあります。

 それでは、仮に血圧を下げる作用しかない薬を高血圧症の人に用いると副作用はないのかと言いますと、これは皆さんご存知の通り、薬の量が相対的に多いと血圧が下がり過ぎることがあります。これは目的とする作用が強すぎたので結果的に過量投与と言うべきでしょうが、好ましくない反応という点では広義の副作用です。


 薬の服用量が多すぎたり何らかの理由で体内に蓄積されると効能とは違う副作用あるいは「毒性」が出易くなります。そうならないために、薬の使用には「常用量」という基準量をもってするのが安全です。しかし、必要な場合は「極量」という量まで投与することがあり得るのです。極量を超えると直ぐ危険ということも限らないのですが、余程の根拠がない限りそういうことは避けるのは当然です。因みに死に至る量は「致死量」。しかし、ややこしいのは常用量をはるかに下回る投与量でも副作用が出る人がいるので、やはり個人差が大きいのです。だから事情が許せば、最初から多量の薬を投与しないで徐々に必要な量まで増やすことが無難です(ご参考までに、ステロイド投与などの場合に、最初に十分量を用いて次第に減量していくという投与法もあります)。私がよく出遭うのは、喘息の薬(気管支拡張剤)で他の人の6分の1の量しか用いなくても動悸や指の震えという副作用の出る人や、鎮咳剤で容易に眠気が出て困る人がいますが、多くの人はどうもないのです。因みにこの薬の副作用の記載には眠気もあるなら、その反対の不眠もあります。別の薬の場合は下痢も便秘も書いてあります。やはり個人差が大きいということを強調したいと思います。医者患者お互いに気をつけ、随時情報交換をして協議するということが、大切だと思います。

←Back                                                                 Next→
直線上に配置