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Doctor Mからのメッセージ#003                     (2001.1)
                  薬の副作用その2:アレルギー


 アレルギー反応は要するに「出る人は出るし、出ない人は出ない」という体質の問題が一番ですが、出る人も全ての薬に出るのではなく、体質と薬との相性の問題でもあります。なお、ペニシリンやピリン類など比較的アレルギーの出易い薬とほとんど問題にならない薬とがあります。しかし出易いと言っても、出るか出ないかというと出ないことの方がうんと多いのです。他方、ほとんど全ての薬にアレルギーを起こす可能性があります。食物でさえでもあり得ることだから驚くことではありません。ビタンミン類にもアレルギーの可能性が記載されています。なお、薬の成分は本来の成分以外に錠剤やカプセルの形を作る物質も含まれていますので、それに対するアレルギーが起っていることがあります。アレルギーは中毒と違い量が少なくても出ます。

 アレルギー反応性は何度か物質に出くわしている間に一部の人に生じてくるのです。ということで、以前大丈夫であった薬にもその後アレルギーが出ることがあります。ただ、患者医者双方に出来ることは、以前アレルギーを生じたことのある薬は記録しておいて、再び用いないことです。以前アレルギーを起こした方は是非そのことを医師に申告しておいて下さい。それと気管支喘息のある方は喘息発作というより危険な形でアレルギーが出やすいので、特に初めて用いる風邪薬などは要注意です。私は薬を飲む時はなるだけ夜間遅くに最初に飲まないほうが良いとアドバイスします。もし、医療の手薄な夜間に重篤な反応が起こったら困るからです。


 時には複数の薬を服用してどれがアレルゲン(原因物質)か判らないことがあります。次にこのうちのどれかの薬を使いたい時はどうするか? これはケースバイケースで、患者医者双方で協議する他はないと思います。さらに、たまたまある薬を飲んだ時に発疹などが出たとしても、実はその時に食べた食物に原因があったかも知れないし、皮膚の病気で発疹がでたのかも知れない。という風に臨床の場は実験の場と違いますので、曖昧なまま終ることも多いのですが、なるだけ無難な方針(君子危うきに近寄らず)を採ります。なお臨床検査でアレルゲンを同定できる場合があります。

 アレルギー反応は炎症反応の一種でして、どの臓器にも炎症を起こしてくる可能性があり、いろんなパターンが有り得ます。一番多いのは発熱・発疹ないし皮膚の痒みです。腸炎を起こすと消化器症状を伴うことになります。肝炎や肺炎を起こすこともあります。どのアレルギー反応も問題ではありますが、多くは軽症です。特に問題は急に呼吸困難や血圧低下を来たすアナフィラキシーやショックと言われる反応、そして少し遅れて進行する劇症肝炎や劇症肺炎などでしょう。

 注射時のショックの中には注射針の痛みに対する神経虚脱が原因のことがあり、これはアレルギーではありません。ある種の自律神経失調(血管運動神経など)と言えましょう。この場合は採血でも生じることがあります。これをしばしば起こす人がいます。こういう方はそういう体質であることを先ず本人が自覚して、極力注射を避けるように医師と協議しておく必要があります。どうしても注射が必要な場合は臥床してするべきと思います。また、いつもより体調の不良な方も(不良だから受診しているのですが、特に自律神経が不調の場合)注射が必要な場合は臥床でする方が良いでしょう。

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