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Doctor Mからのメッセージ#076                     (2013.1)
            

ジェネリック薬品について意図的な意識誘導をされている


 前回(#74)にジェネリック薬品についてのコメントを書いています。もう4年半もこのコラムに記事を書いていませんでした。一旦書く習慣がとまるとなかなかかけないものです。最近患者さんの発言から感じることは、ジェネリック薬品について良すぎる印象を持っておられる方が多いようです。この「誤解」を解こうとおもいます。
 

 まあ、大体のことは前回に書いた通りですので、それを読まれるとその位置づけというものが判るはずなのですが、やはりテレビのCMが流石によく効かしてあるのです。

 ジェネリック薬品会社は100社もないかもしれませんが、とにかく多数あり頑張って努力しておられます。テレビで頻繁にCMを流す最大手の数社です。沢井薬品と東和薬品、それに医療器具の大手の1つのニプロも最近は薬品に参入してCMをよく流しています。CMを見る人の一部が不思議なことに、どうもジェネリック薬品の方が種々の工夫・改良をしていて、大手先発の薬品会社の製品よりも良いように思い込んでいるようです。一般的に、そんなことは全くありませんと敢えて言っておきます。

 ジェネリック会社の努力は製品については錠剤であればいかに飲みやすくするか、くらいでしょうか。それも、先発品とより優秀だということと決まったことでもありません。服用した後で体の中で溶けて、血中に移行する動態が先発薬品とあまり変わらないことの証明が厚労省への申請に必要になっています。コストがほとんどかかっていないのですから安いのは当たり前です。「いい商売です」が、過当競争でしんどい点もあります。先発薬品と現実的には遜色がないのではないかということです。小生「まあそういうところである」と判断していますが、一部の先生やあるいは小生でも一部の種類の薬品については先発品を是非使いたいをいうケースがあります。

 先発製薬会社は社運をかけて新薬の開発を行い、基礎応用科学の研鑽と薬品の効果・副作用のチェックに莫大な時間と費用をかけているのです。我が国のお家芸であるところの先進科学技術を発揮すべき領域で頑張って欲しいものだと思います。(外資系の薬品も無視できないシェアを占めていますが)。一つの薬品の性能はこの先発薬品の開発した時点で決まってしまうものなのです。特許期間の間は利益を得たのだからそれ以降の儲けは我慢すべしという制度の元でジェネリック会社は活動しているのです。

 患者個人・医療機関・国庫などに恩恵があるので社会的に意味があるということで、ジェネリック会社にも頑張ってもらおうということなのです。それで、当院でも以前から使っており、やはり次第に比率が増えている傾向にあります。要するに経済面だけの効用であることです。

 二十年ほど前に知り合いの診療所を訪れた時に待合室の壁に「当院では先発品しが用いていません」と書かれたポスターが誇らしげに貼ってありました。当院では既にその頃から少しではありますがジェネリック製品を用いていましたので、いろいろ考えがあるのだなぁと思ったことがあります。経済面を考慮に入れなかったら、現在でもこのポスターはそのまま使えるものです。



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