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Doctor Mからのメッセージ#073                     (2007.7)
           病院(医院)の薬と薬局の薬の違いはあるか?
 
 
「風邪を引いて薬局の薬を飲んだが効果が悪い。病院の薬とやっぱり違うんですな」と言って受診される方は結構多い。私のお答えすることは以下のようなことです。薬局の薬も病院の薬もその成分自身は大差がないことが多いです。一般的な差は、薬局の薬は病院の薬に比べて、合剤が多い。つまり、一錠とか一包の薬の中に数種類の成分が混ざっていることが多い。それで、「総合」感冒薬とかになるのです。病院の薬にも一部には合剤もありますが、多くの薬に含まれる成分は一種類です。この状況と裏腹なのは、すなわち、ある成分一種類の量は病院の薬に比べて薬局の薬の場合はかなり少ないことが多い。そういう訳で薬効が少ないという結果になりうるように私は思います。成分自体は同一の場合が少なくありません。

 風邪で受診された患者さんに処方する薬剤を考えた場合、痛みや発熱、咳、痰、鼻水の症状があれば、結局4種類の薬剤を考えることになります(必ず4種類処方するとは限りません。3種類や5種類の場合もあります)。一寸風邪で受診したのにこんなに沢山もらったという感想を持つ方もあるのではないでしょうか。薬局に行くと、総合感冒薬1種類かも知れません。1回に2〜3錠服用するようになっていても、各成分の服用量は結局少ないことが多いです。病院の薬もなるだけ副作用が出ないように工夫されていますが、薬局の薬ではさらにそういう不具合が出る可能性をうんと少なくしたいために服用量を低目に設定しているように私は受け取っています。医師の診断を経ないで処方されるので、よりそういう安全性をより一層担保したいのではないでしょうか。

 鉄欠乏性貧血というのがあります。思春期や若い女性の場合にはありふれた種類の貧血です。これは血球検査をすると簡単にその診断にたどり着くことが出来ます。念のために血清鉄その他を測定すると確定します。この治療は面倒なことをする必要はなく、病院の鉄剤を服用すれば早期に良くなります(失血の原因自身の治療の必要性はいろいろです)。1日1錠を1〜2ヶ月もすれば大体目処が付いてくるし、後は週に数回とかの服用継続のこともありますが、とにかくそれで仕舞いです。当院にある鉄剤(薬価10円40銭)の鉄含有量は105mgです。先日、慢性の鉄欠乏性貧血の女性が受診されました。薬局で買った貧血治療薬を継続服用していましたが、貧血が続いたままでした。その薬の鉄含有量は12mgしかありません。効果がないのは当たり前でしょう。その代わりにカルシウム、ビタミンB12・C・Eが加わっている。鉄欠乏性貧血にカルシウムやビタミン類は現実的に「意味はない」というのが正解。なお、貧血には鉄欠乏性の他に、葉酸やビタミンB12という物質が有効な貧血もあることはあります。その場合はそういう物質のみをキッチリ補給すればよいのです。あれもこれもと一般薬やサプリメントの成分を組み合わせる場合が目立つ風潮です。その理由の多くは、効果というより「付加価値を付けて価格を上げる」という商売上の理由なのでしょう。鉄剤のみなら安過ぎて商売にならないので、総合治療薬という形にして価格アップを図るということです。

 総合感冒薬にせよ総合貧血治療薬にせよ、大した症状ではない場合や病的とはいえないが念のために服用しておこうという程度のものでしょう。総合感冒薬の場合は便利で有意義な場合が多いと思います。しかし総合貧血薬に至っては各人に意味があるかどうかは検証してみないと分からない。多くの場合は意味がないのではないかと思います。特にサプリメントについて、効果があるのかを診断や検証をする能力をお持ちですか?

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