(003)分煙対策のノウハウ(2004.11)

    前号で分煙のことに触れましたが、せっかくですので専門家の大和先生の貴重な講義内容を記憶の範囲内で書いておきます。そのノウハウは物凄く安上がりで効果が明快ということです。不景気な状況ですから、導入する企業の出費も極力抑えられるのが有り難いと思いました。

    事業所の部屋から煙を窓から外に排出することを考えますと、それ程広大な床面積でなければ、家庭用の換気扇程度のものでも大抵充分らしく、広さにもよりますが、1個で不足なら2個くらい並べて窓に取り付ければ排出機能としては充分だそうです。出費はそれだけで仕舞いだそうです。ポイントの一つは、煙を効率よく排出するにはその部屋に効率よく新鮮な空気が入ってくるようにすれば良いということです。普通の部屋なら、ドアを開けたりしておかないと、分煙対策として働くべき換気装置はあってないがごとしということです。必要とされる換気扇の分時排出量や開けておくドアなどの開口面積(ドアの開け具合)は計算式を示されていましたが、その計算式を知らない場合は「勘」と試行錯誤でも可能でしょう。

逆に言うと、これは非常によくある事例だそうですが、企業が職場環境改善対策として高価な排煙装置や特別な換気扇を買って設置するのは良いけれど、部屋の空気の流れに留意が払われていないので、煙草の煙が蔓延していることが稀でないそうです。講演の時に、大和先生が言ったことは「熊本市役所の一階ロビーに百万円はすると思われる排煙装置が置いてありますけど、分煙という観点からは役に立っていないので、税金の無駄遣いですね」。「器械を置いたからそれでよし」というのはやはりダメなんでしょう。これは何年か前の話で、今はどうだか知りません。

    狭い場所でも広い場所でも、もう一点重要なことは、煙は上に上がるので、喫煙場所の上半分位は仕切りを天井から直接取り付けないといけないそうです。上からどの位の長さが必要かなどは計算式があるのでしょうが、試行錯誤でも可能かなと思われます。ただし、この仕切りカーテン(耐火の透明プラスティクなど)の長さがあまりに床に近づくと、独立した部屋に近くなるということで、その場合は流入気流の断面積(上記の開口面積)を確保しないといけない。以上のことで、広いロビーでも充分機能するということです。いづれにしても、分煙ということだけでなく、喫煙コーナー内でも環境が悪くないように気流の確保が重要だということです。

ということは、広いロビーでも、喫煙コーナーの天井から換気扇を吊り下げて、そこから部屋の外までの排煙ダクトを取り付ける、加えて、その空間の周囲の上半分を天井から仕切りを取り付けると、充分な分煙対策になるということです。そうすると、見かけを気にしなければ、非常に安価な費用で充分な分煙対策が出来ると言うことです。ただ、今後の職場空間における防煙対策は分煙でなく禁煙の強化になっていくでしょう。