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Doctor Mからのメッセージ#050                      (2005.4)
          ウォーキングやランニングでは体重はほとんど減らないのです

 外来診療していると、「体重を真面目に減らそうと思うので、これからウオーキングします」という患者さんが物凄く多いのに閉口します。私はウオーキングを勧めるものでありますが、糖分や脂肪の体内の代謝を改善したり、自律神経の調子を保ったり、心身のリフレッシュのため、筋肉のためなど、やり方によっては意味があると思うからです。体重を減らす王道はカロリー減量に決まっているではないでしょうか。

 一年前の冬に、立田山の麓のお祭り広場にある、フィールドアスレティックの20種目サーキットに娘に連れられて挑んだことがあります。何とか無理やり全部クリアしましたが、ヘトヘトに疲れ果てました。筋力の衰えと体重の増加の不都合をつくづく感じました。終わってから、案内板を見直しますと、全部出来たら皮下脂肪が28グラム消費され、体重が50グラムほど減ると書いてあったので、「あれだけやって、たったそれだけか」と改めて驚きました。それと同じエネルギーはジョギング4kmで、ビール大瓶1本か、ざるそば1杯プラス玉子1個とも書いてありました。

 私は数キロメートル位は毎週何回か走っています。身体に良いからというのではなく、単なる趣味です。真夏の日中に走ってくると体重が1〜2キロくらい減っています。しかし、これはほとんどが体内の水分の減少によるものです(発汗)。水分補給でほとんど元に戻ってしまいます。


 しかし、「実際にウオーキングしてからどんどん体重が減っている」という場合があると思います。その場合の理由は、ウオーキングしようという心構えの状況が、意識的か無意識的か、食事や間食の摂り方にもそれなりの節度が出て、直接にはそちらの理由で体重が減っているものと思われます。或いは、運動するために外出することで間食を摂る時間が奪われることが理由のこともありうる。一般的にも、このような話はよくあることです。つまり、「Aが原因でXの結果がでた」と思うけれども、実は「Aをすると自然とBもすることになり、Bが本当の原因でXの結果になる」というものです。例えば、プラセボ(偽薬)効果というのもこの範疇のものと言えます。Aという薬の効果を期待して服用すると、実は薬自身の薬理的効能ではなく、その期待的な心的状況(B)が症状を改善するというもので、対症療法的な薬の効果の数割あるいはそれ以上はこれに拠っているということは医学的常識です。サプリメントや民間療法などの効果と信じられてしまうかなりの部分がこれに拠っていると思われます。

 私は、1年前の立田山の件で考えさせられましたが、体重は徐々に増加していて標準体重を超していたのです。ずっと痩せ型であった自分についてはカロリー管理を考えたことはありませんでした。それで、初めてカロリー制限を真面目に心掛けたところ、3ヶ月間で5キロ減量しました。私の場合は幸運にも簡単でした。というのは、1年前からランニンングを強化して、副産物として、スポーツ飲料の量が非常に増えていました。食事量や間食量も増えていました。つまり運動の強化(A)が体重増加(X)させたのですが、直接の原因はカロリー過多()でした。そこで、飲料の量を減らし、ついでに、食事と間食も一寸節制したら体重が簡単に減ったのです。その後も運動時の「体のキレ」を維持するために標準体重より3キロ少な目に保っています。運動し始めたら体重が増えたという話は時々耳にします。その理由が筋肉の肥大なら結構ですが、単に食べ過ぎで皮下脂肪の増加になったというのが多いようです。

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