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Doctor Mからのメッセージ#017                     (2002.10)
            病診連携・診連携:これを利用されるのが適切だと思います


 物事は何でも手間とリスクとの天秤にあると思われます。重症なら別ですが、初めからわざわざ遠くで時間の長くかかる大病院に受診しなくても良いと思います。先ずは掛かりつけ医に受診しておいて、「一寸、判らないな」とか「一寸、難しいな」とかの場合に、病状に応じた専門の病院や医院に紹介してもらえば良いと思います。逆に、専門病院で診断と治療方針が決められた場合で後は経過観察しながらの治療という場合は、最近は専門病院から掛かりつけ医に紹介があって、1年に数回は専門病院でチェックを受けるだけというケースが多くなっています。これらを病診連携と言います。

 私の姉は大阪に住んでいますが、元気でピンピンしており単純な高血圧症だけなのに、10年間も大阪大学付属病院に通院していました。私は「何でそんなことで大学病院にかかっているのか」と思いました。大学でないと扱えない病気を持った患者さんの間にこういう病気と言えないような患者さんが紛れていては、他の患者さんの待ち時間の邪魔ですね。それだけでなく、本当は自分には関心を持ってくれないはずですので自分にとっても良くありません。特に若い医師は自分の医療の力量を増やそうと努力している時ですので、熟年の微妙な体調や心理などとても気が付かないのではないかと思います。自分の若い頃を思い返すとそうでした。

 風邪を引いて大きい病院に受診するのも同じことです。私どもなら風邪でも大変だなと思って診ますが、大病院などに行くと医師は内心「何故、風邪くらいでここに来るのか」と思うかも知れません。しかし、「風邪といっても中には肺癌や肺結核や何かとんでもないような怖い病気が紛れているのではないか?」という考えもあるでしょう。それはその通りですが、数日程度の風邪症状では考え過ぎです。2週間も咳が治らないとかいうなら、そろそろおかしいなというでしょうが、この場合でも掛かり付け医の専門次第でもありますが、そこで胸部写真でチェックすれば肺のことの大体は判ります。万が一に喉頭癌のようなものなら困ると思えば、念のために耳鼻科にも診ておいてもらいましょうということになります。これも近所の医院でよいでしょう。


 なお、風邪で先ず内科か耳鼻科かということも問題のひとつですが、頼りになる医師と思えばどちらでも良いと思います。一長一短ですか。互いの医師がちゃんとしていれば、長引く場合には、互いに他の医師にも一度診てもらった方が安心ですと勧めることになります。私の場合は近所の同じような考えの耳鼻科の先生達と互いに補完し合っています。これを診診連携と言います。大抵の病気は地域内の医院や病院の間で補完し合って完結し合えば、患者さんの手間も少なくなると思います。この辺の地域の医師はこういう考えの人が多いと思いますが、一般には診診連携は上手く機能していないことが多いのではないかと思います。上手く機能しないのは医師の側の姿勢や機能に問題があることもあり、患者さんの意識にも問題があることがあるでしょう。

 余談ですが、いつも腰痛で整形外科医院にかかっている人が風邪に罹った場合、わざわざ内科にかからなくて、整形治療のついでにその整形外科に診てもらうのも一つの選択でしょう。逆に、いつも心臓で内科医院にかかっている人がちょっと腰が痛くなった場合、取り敢えずその内科に診てもらうのも一つの選択でしょう。医師によっては他の領域についても、関心を持って多少は勉強している場合がありますから。簡単に治らない時に別のところに診てもらえばよいと私は思います。

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