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Doctor Mからのメッセージ#013                      (2002.7)
              成人病の管理をさせて頂いて気になってきたこと


 内科中心の開業医をしていますと、高血圧症、高脂血症、肥満、糖尿病などの動脈硬化の危険因子を有する状態の管理のお手伝いをすることが多いです。これらは関係学会のガイドラインに沿って、検査値の目標を設定して生活改善の指導や薬物投与の組み合わせでもって管理していく訳ですね。そういう管理をしていても、個々の患者さんの将来の健康上の幸福や不幸についての予測は不確実で、あくまでも大規模の臨床研究から得られる統計学的な予測が拠りどころになっています。

 余談ですが、この大規模の臨床研究というのがポイントです。無責任なマスコミがしきりに流すような、研究室の中だけの一寸した試験管内のデーターや短期間のネズミの実験結果だけでは、人間個体全体の長期間の利益に適うかどうか全く判りません。現代の臨床医学で認められた指針を守ることは、一応は、良いこととしておくのです。一方、はっきり判らないことには時間と金と精神を浪費しない方が良いと思います。

 脱線を戻します。先ほどの話のような状態の管理をしながら長年ひいきにして頂いてお付き合いしている患者さんについて、まあまあのコントロールが続いているうちに、一体こういうことで良いのかと疑問を抱くことが少しずつ出てきました。

 一つは手遅れの癌が見つかって、程なく亡くなられてしまうことが結構あります。私は請け負っている範囲外の検査を勝手にしない方針ですが、胃カメラ・大腸カメラ・腹部エコーくらいはしつこく勧めておけば良かったと思うのです。肺の方は時には胸部写真を撮りますのでよいのですが。しかし、検査の押し売りのように受け取られるのも厭ですし。勿論、他の医療機関や住民検診を利用されても良い訳です。

 二つは内科的には問題ないのですが、膝が痛いとか腰が痛いとか、力が入らずフラフラするとかで、老後に非常に辛い生活を余儀なくされる方が少なくありません。私は思うに、現代は余りに生活習慣病(成人病)や内科的な健康に関心が偏りすぎて、運動機能の維持向上への関心が少なすぎる。運動機能というと特別の興味を持っている人の問題であるかのようです。私は10年余開業医として皆さんとお付き合いしてきて、筋肉や関節の機能維持向上の重要性に気付いたのです。それにはより正しい姿勢で筋肉を維持向上させる動きを繰り返しする他はありません。

 例えば、「変形性膝関節症」です。電気治療、鍼灸療法、関節内注射、湿布なども良いでしょうが全て受身です。そもそも下肢の筋力低下によって悪循環を来たしているのですよ。やはり何歳になっても筋力の向上による若返りと肥満の是正、そして正座のような悪化姿勢は取らないという積極的な対策が重要なのですが、年寄りには無理ですよというような反応が返ってきます。何歳になっても出来るし、コレステロールの値を30下げるよりも重要だと思いますがね。痛くて歩けない人は補助金属付きの膝のサポーターを指導しますが、何か特殊なものを見るような反応をされますが、普通の対策です。大腿四頭筋の筋力アップの簡単な方法もあるのですが、本気で聞いてくれる方は少ないです。

 「腰痛症」も皆さんは骨の変形とか骨粗鬆症ばかりを思っていますが、腰痛も多くは筋力の低下が主原因であったり、骨の変形が主原因でも筋力低下が悪循環を来たしているのでしょう。少しでも良い姿勢を無理にでも保っての年齢に応じた筋力アップを真剣に前向きに考える必要があります。時々からで良いのです。姿勢の悪い人が多いので、ここでも補助金属付きの腰帯を適宜利用されるのが良いと思うのですが!

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